先日GitHub Satellite で GitHub Codespaceが発表されましたが、その一週間くらい前にこちらのベースになるAzure側のサービスが発表されていたんですね。
といっても今回新規に出てきたサービスというわけではなく、以前発表されていたVisual Sutdio Onlineが名称改変されたということですね。
さて、上記記事(以下、発表記事)ではComputing resourceの利用料金を下げるということが書かれていて、この発表の翌週に新しい料金体系を公開するとありました。
で、実際にどのくらい下がったかに関するVenturBeatの記事が以下。
Microsoft is also introducing a new instance type for the scenarios that do not require much power. The basic instance type (2 virtual cores, 4GB RAM) costs $0.24 per hour when it launches today and will go to $0.08 per hour next month (67% less). Update on May 1: Microsoft accelerated the pricing change for the basic instance. $0.08 per hour is effective day. The existing two instance types will also get cheaper. The standard Linux instance type (4 cores, 8GB RAM) will go from $0.45 per hour to $0.17 per hour (62% less). The premium Linux instance type (8 cores, 16GB RAM) will go from $0.87 per hour to $0.34 per hour (61% less). A Codespace, as Microsoft now calls it, also incurs storage charges ($0.0088 an hour for a 64GB SSD), billed to the second. Developers will still be able to create and delete Codespaces at any time.
公式発表記事からリンクされていた価格表)を見ると、米国西部2リージョンでは上記記事にある通りに値下げされています。
まだプレビュー段階ということで日本リージョンには来ていないんですが、日本円換算の1時間あたりコストも出ています。
公式発表を見ると戦略的値下げという印象ですが、ここからが本記事の本題。果たしてこの金額はウェブ系の開発者が移行を検討するに値するお値段なのかでしょうか。
業務で使うとおいくら?
試しに業務で使うことを想定して1ヶ月20営業日、1営業日8時間として計算してみます(小数点以下は第一位四捨五入)。ブラックな会社にお勤めの方はブラックさに応じて勤務時間を調整してください。
- Basic
- 月1,516円
- 年18,194円
- Standard
- 月2,271円
- 年27,256円
- Premium
- 月4,543円
- 年54,514円
これはVMの金額を見ただけなので通信費は入っていないですし、もしかすると他にもかかってくる料金がなにかあるかもしれませんが、この金額だけで考えると個人的にはなかなか競争力ある価格帯に思えます。
開発環境に必要な条件がマッチするという前提であれば、個人利用だとPC買い換えるよりコスパ良かったりするんじゃないでしょうか。特に新規にプログラミング始めるような開発するには性能が物足りないPCしか手持ちにない場合、買い換えるよりはVS Codespaces使うほうが一時的な支出を抑えることができ、かつBasic, Standardあたりで十分ということであれば長期的にも経済的メリットがありそうです。
Codespaces利用のメリット・デメリット
発表記事にある利用者のフィードバックを見ていると個人というより企業等のチーム単位で使っていると思われるものが多かったので、ここでは開発チームに導入するという視点で思いついたメリット・デメリットを書いてみます。
メリット
- (本番環境のOSがサポートされていれば)本番環境と開発環境のOSを揃えることができる
- 管理者が一括でコントロールできる
- 開発者向け Win / Mac にツール入れて管理するよりお手軽。
- microservicesなサービス構成だと特にメリットはありそう。
- 開発者が利用するPCの性能要件緩和
デメリット
- 動作環境はブラウザ上 or Visual Studio Codeに限られる
- Visual Studioでの利用はまだprivate preview
- Terminalは開けるのでそこからvim, emacsだけ使うということはできる
- 常時接続のネットワークが必要
- プレビュー段階だとターミナルのレスポンスは結構悪いので日本リージョンに来るのを待つことになりそう
- ブラウザだとVSCodeのショートカットキーが一部ブラウザと重複する
- Ctrl + w でブラウザのタブが消えるのはつらい
- VS Codeで
Visual Studio Workspaces
extension使えば普通にvscで開発するのと同じになるのでこちらのほうが良さそう
まとめてみると、開発者個々人としてのメリットというより開発環境を整える、もしくは開発費用に関する意思決定者のメリットのほうが多いという印象ですね。
日本国内のウェブ系企業だとIDEをチームもしくは社内で統一しているというところはそんなに多くないんじゃないかというのが自分の肌感なので、国内だとその辺が導入が広がるかどうかで1つのハードルになるような気もします。ただ、上にも書いたようにvsc経由でterminalも使えるので最悪vscをターミナルソフト代わりに使うという方法まで含めればカバーできる開発者の範囲は広そうです。JetBrain系IDE使っているとか、他のGUIエディタが手放せない開発者はどうするかという問題は残ります。
と、いろいろと導入に際しては検討することは多いですが、VMの価格設定を見る限りは「ないわー」から「使えるかも?」くらいのところまでは近づいてきていたのではないでしょうか。