週刊気になったITニュース(2020/11/29号)
DynamoDBのPartiQL対応
DynamoDBがPartiQL対応したそうです。東京リージョンも対象です。
しかも従来のAPI同等のSLA適用ということで置き換えのデメリットはないと言うことですね。
The DynamoDB Service Level Agreement continues to apply while you use PartiQL to perform operations on DynamoDB table data.
「PartiQLって何?」という方にざっくり説明すると「ストレージエンジンを気にせず使えるSQLのサブセット」となるでしょうか。
これの何が嬉しいかというと、これまでDynamoDBを使うには専用のAPI使ってCRUD操作をしなければならなかったのがSQL-likeに書けるようになったのでより扱いやすくなったということですね。具体的な例はいつもの通りクラスメソッドのテックブログに記事が上がってます。
記事中にもあるとおり、PartiQLが使えるからといってDynamoDB由来の制限は当然残り、利用できる演算子等にも制限がありますので先にマニュアルを参照しておく必要はあります。
PartiQL対応により、DynamoDBがさらにウェブサービス開発のでバックエンドとして使いやすくなったという印象です。特に開発初期やモックアップでRDBMSへの移行を見据えつつDynamoDBを使うというときにPartiQLでCRUD操作を書いておけると移行は随分と楽になるんじゃないでしょうか。
BBC Onlineのクラウド化
「BBCって何?」という方は公式日本語サイトの解説 を見ていただくのもいいかもしれませんが、どういったウェブサービスなのかという点に限れば以下の一文で十分かもしれません。
The BBC website is huge. Over half the UK population use it every week. Tens of millions more use it around the world. It has content in 44 different languages. And it offers over 200 different types of page — from programmes and articles, to games and food recipes.
BBCは以前からウェブでのコンテンツ配信に力を入れており、ライブ放送と同等の情報がウェブサイトやアプリからも手に入るというくらいの位置づけになっています。そのウェブサイトが今回クラウド化したということで、クラウド化に当たっての方針と実現方法等についてまとまっています。それなりのボリュームはあるものの、かなりシンプルにまとめられています。
ウェブサービスとして見ればニュースメディアというのは複雑で巨大なCMSと見ることも出来て、実際記事を読むとウェブサイトの半分はAWS Lambdaでレンダリングされていて、フロントエンドではReact が使われているそうです。大規模CMSの移行事例という視点で記事を眺めると意外と身近に感じられるのではないでしょうか。特に Principles
に上げられている点は定石ですが重要なトピックばかりですね。タイトルだけ引用してみましょう。
- 1) Don’t solve what’s been solved elsewhere
- 2) Remove duplication (but don’t over-simplify)
- 3) Break the tech silos through culture & communication
- 4) Organise around the problems
- 5) Plan for the future, but build for today
- 6) Build first, optimise later
- 7) If the problem is complexity, start over
- 8) Move fast, release early and often, stay reliable
当たり前のことばかりですが、BBCのような巨大なメディア企業でこれらが当たり前に出来るというのは流石ですね。
さらに、8) のところで Part of the the monthly status report we make for the WebCore project.
として以下のスライド画像が共有されてます。これもなかなかすごい数字ですね。
- 1ヶ月で110回のリリース
- 20日で割ると平均1日5.5回のリリース(=おそらくデプロイ回数)
- ビルドは平均して3.5分で完了
- 平均して1PRが24時間23分でプロダクションに反映
開発チームの規模や構成は本記事に書かれていないので比較しようがないというのはあると思うのですが、これを上回ることが出来てる組織ってあんまりないんじゃないでしょうか。もっとも、先ほども書いたとおり基本的にはCMSであることとAWS Lambdaが活用されていることを考えるとビルド時間やリリース回数についてはB2Bや利用者からのデータ入力が多いB2Cサービス比較するなら多少割り引いて捉えるべき数字ではありますね。
なお、本記事の最後にあるように本件に関連する記事がmedium上で公開されてます。どちらも興味深いトピックです。今後もまた面白い記事が出てくるかもしれないので、フォローしておきたいですね。
RustベースのJS/TSコンパイラー
Deno 1.0リリースのときから「tscはjsなので遅すぎる。rustの実装に置き換えるべき。」という話が出ていましたが、Deno 1.5でswcを採用してそれが実現した形ですね。
serverless疲れ
Hacaker Gifts というブログ著者の個人プロジェクトでAWS Lambdaをバックエンドに採用したけどRailsに切り替えた、という話です。
正直Railsの部分はどうでも良くて(ひどい)、注目すべきは記事中でも文字が大きくなっている以下の部分ですね。
When the building blocks are too simple, the complexity moves into the interaction between the blocks.
With serverless, I was no longer dealing with my project's domain, I was dealing with the distributed system's domain.
AWSでサーバーレスやっていると確かに個別のサービスをどう組み合わせるかという話の比率がどうしても増えてしまう、というのはあると思います。一方でサーバーレスのほうがスケールしやすかったりデータ量やトラフィックが少ないうちはランニングコストがかなり安価だったりもするので、どの要素を優先するかの判断が必要になってきますね。
教育現場におけるChromebookのシェア急上昇
GIGAスクール構想で採用される端末でChromebookがシェア急上昇中とのこと。以前から米国等で教育機関でのシェアが高いというニュースは聞いていたので特段驚くことではないですが、記事中にあるWindows / iPad と比べた場合の評価項目を見ると、やはり運用管理の容易さが強く支持されているようですね。
DELLが先行してシェアを伸ばしているという記載があってせいか、記事の最後は以下の一文で締められてます。
今後、これがどんな勢いで拡大していくのか。それが、日本におけるPCメーカーの勢力図にどんな影響を及ぼすのかが注目されている。
が、現在PC作ってる日本国内メーカーで資本的に外資と一切関わりないところはないと思うので、ノートPCトップ3のうちデル以外のHPとLenovo / NEC / 富士通連合がどう出てくるかしか影響ないんじゃないように見えるんですけど、どうなんでしょ。
IBM、EUで1万人レイオフ
新会社スピンオフの話もあったのでどこかで来るんだろうなとは思ってましたが、この状況で1万人はなかなかですね。。
PS5における最高難易度の操作
「なんでPS5って電源オフにするのがこんなに大変なの?」というタイトルズバリの記事ですが、運良く抽選で当たって購入できた自分も同様の感想です。PS5ってPS4のときみたいにコントローラのPSボタン長押しですぐ電源オフにいけなくて、画面右上の歯車アイコンから移動しないといけないんですよね。「それだったら本体の電源ボタン押すほうが速いだろ!」ということで自分は電源ボタン押してますが、リビングの大画面TVで本体から離れたところでプレイしてたりするとストレスでしょうね。改善されると良いのですが。