週刊ITニュース浅掘り(2021/03/21号)

毎週ちょっと気になったはてブ少なめのマイナーニュースについて軽く掘り下げる記事です。

S3 Object Lambda

aws.amazon.com

S3からオブジェクトを取り出すときにLambdaを挟むことが出来るというシンプルな機能ですが、データフォーマットの変換だけでなくデータに含まれる個人情報の削除などいろいろと応用が利きそうです。

シリコンバレー、○度目の死亡予測

2000年ドットバブル直後くらい死ぬ死ぬと言われて久しいシリコンバレーですが、Tim O'reilly が最新の死亡説を発表したようです。

www.oreilly.com

理由として挙げられている項目は以下の4点。

Consumer internet entrepreneurs lack many of the skills needed for the life sciences revolution. Internet regulation is upon us. Climate response is capital intensive, and inherently local. The end of the betting economy.

1点目のライフサイエンス系の話は10年以上前から聞いている話じゃないでしょうか。未だ実現はしていない感じがしますが、現地ではどういう印象なのか気になるところです。

2点目は最近注目のトピックではありますが、規制がかかってもインターネット上で行われる商取引が減少するというわけではないので、大手プラットフォーマーが消えたとしてもその間を埋める企業がどこから生まれるかが重要で、引き続きシリコンバレーはもっともそれに適性がある場所なんじゃないでしょうか。3点目についても様々な分野で脱炭素が進んだとしても製品がコモディティ化していけば自然とビジネスモデルの優位性が増してくるので、ビジネスの実装を出来るところが強いという点ではやはりインターネットビジネスに強い人材が集約されている土地が強いように見えます。

最後の話は単純に世界的に投資マネーが増えていたらそりゃどうしようもないんじゃないでしょうか、という話ですね。

2020, 2021年のWindows PC市場

pc.watch.impress.co.jp

2021年がスタートしたころ、自分が書いた以下のコラムを読み返した。ありがたいことに、2020年のコラムアクセスランキングで7位を獲得していた。

以下の記事ですね。自分もこの記事を以前読んでいましたが、まだ1年前くらいの記事とは思えないくらい、隔絶の感があります。

pc.watch.impress.co.jp

劇的に状況が変化した理由は、やはりこれに尽きるでしょうか。

家族それぞれが作業をするため、家庭内でPCが足りなくなるというこれまでは考えられないことが起こったのが2020年だった。

薄型軽量のいわゆるモダンPCの売上についても変化が。

現在でも郊外の家電量販店では、大画面で重くHDD、DVDドライブ搭載のPCがなくなったわけではないが、状況は変わりつつあるという。「1年前に29%だったモダンPCの比率は、1年経って42%まで拡大しました」。

記事の後半はGIGAスクール構想に伴う出荷増と今後について。小中学校はこの3月で一通り整備が終わったものの、高校はまだこれからで必ずしも学校がすべて用意するとは限らないんですね。おそらく、遅くとも再来年くらいからは大学に入る学生のICTリテラシーは大きく向上し、その4年後には新卒採用市場にも影響が見えてくるのでしょう。

好調な半導体市場に忍び寄る部品不足

www.bloomberg.co.jp

日本語記事はサマリーだけで、英語記事はより詳細に報じてます。

www.bloomberg.com

デジタルアート市場

jp.reuters.com

クリスティーズでは今年、デジタルアート作家ビープルの作品が7000万ドルで落札され、仮想空間から富を生み出せるということがはっきりした。

これを持って絶好調と書いているようですね。

アート・マーケットによると、アートディーラーの売上高全体に占めるアートフェアの比率は2019年には43%だったが、20年は22%にすぎなかった。この半分弱がデジタル開催のフェアで得られた収入だ。

ということで2019年のアートフェアを通常レベルとすればその1/4程度ということなのですが、これも絶好調ということなんでしょうか。

街角からモデル探しが消えた理由

bunshun.jp

なので、モデルを探している美容師と、モデルをやりたい個人をつなぐマッチングサイトができて、モデハンをほとんどしなくて済む現代の後輩を本当に羨ましく思います。

2013年にはカットモデル探し(モデハン=モデルハンティング?)用のサービスが出ていたようです。

wired.jp

おそらく業界の人からすれば今更な話なんでしょうが、業界外の自分にはなかなか興味深い事例でした。

LINEヘルスケアも国外にデータ保存

medit.tech

これ、いわゆる3府省2ガイドライン的にアウトなんじゃないでしょうか。

SPモードウェブコンテンツ強制解約反対の理由

smhn.info

一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムは、ドコモの格安新料金プラン「ahamo」におけるキャリア決済の維持およびWebコンテンツ強制解約への反対を主張、プレスリリースを打ちました。

元ネタはこちらのようですね(PDF)

https://www.mcf.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/10/mcf_release_20210317.pdf

反対の理由は以下とのこと。

  • 消費者にとっては、同一通信事業者との単なるプラン変更との認識しかなく、適正な契約が強制的に解約されるとの認識がないため有効な同意を取得することが困難である。
  • 消費者にとっては、デジタルコミックや書籍、音楽、静止画、動画などのコンテンツが強制解約されると、課金によって保持していた有償のポイントが消滅して経済的な損失となる。
  • データサービスでは大事な思い出の写真等のデータが失われる。
  • ファンクラブ等の会費が払えなくなり強制退会となる。
  • 代替の課金手段はクレジットカードが想定されるが、若年層ユーザーは対応不能で強制解約を受け入れるしか選択肢がない。
  • コンテンツ事業者にとっては、収益の減少となるだけでなく、コンテンツ解約にともなう経済的な損失、回復不能な思い出のデータ回復要望等のクレームが多発することが想定される。

最初の1つ目は確かに知らずに解約してしまう消費者の保護という観点で検討の価値はありそうですが、残りの項目も含めて「未だにキャリア変更を想定できてないサービスのほうが微妙なんじゃないのか」と言われたら返答に詰まりそうな主張ですね。

後半のQ&Aのほうが興味深く感じました。

  1. 格安プランでは、コストダウンのためSPモード課金の廃止が必要では?
  2. SPモード課金では、決済手数料がドコモに入るため、格安プランのためのコストダウン効果は考えられない。消費者に、格安プランへの変更かコンテンツサービスの解約かという究極の選択を強いることで、国民の携帯電話料金の低廉化が進まないと考える。

決済手数料がドコモに入るのになぜ止めようとしているか、というところをもうちょっと考えたほうがいいのではないでしょうか。

  1. 他の通信事業者はどのような状況か? 格安プランを提供する3キャリア(ドコモ、auソフトバンク)について、広く代替の課金手段が提供されていないのはドコモのみである。(ソフトバンクについては、課金手段は提供されるが、引継機能が提供されていないため改善を求める。)

なるほど。それで今回ahamoがターゲットになっているわけですね。とはいえ、コンテンツプロバイダ再度がちょっとあぐらをかきすぎている印象は拭えませんね。それに3月入ってからの発表ということはコンテンツプロバイダ側も直近まで気付いてなかったんじゃないでしょうか。利用者の味方であるなら、もっと早期に一定の規模でキャンペーンなどを打つべきでしたね。